煎餅の研究一覧
お煎餅ラボが煎餅(米菓)について調べた研究43件を、6つの観点に分けた一覧です。各行は1〜2行の結論と、どこまで原典を確かめたか(確認レベル)を示します。記事がある研究は記事へつながります。煎餅そのものを調べた査読論文は少なく、県の試験場の報告や、パン・スナック・タイの米菓の研究が多く含まれます。
確認レベルの見方
- 原典で照合 記事を書くときに原典(要旨または本文)を開き直し、記事に書いた数字と主張を照合した
- 数字を確認 下調べで要旨か本文を読み、ここに書いた数字を確認した
- 要旨を確認 下調べで要旨を読み、傾向を確認した(数字は載せない)
- 書誌のみ 実在は確認したが中身は読めていない(中身・数字は載せない)
「要旨を確認」「書誌のみ」の文献は、記事で数字を使う前に原典を開き直します。調べた日: 2026-10-19。
材料
米の種類(うるち・もち)、品種、古米、油。
Chantaraponpan ほか 2021 数字を確認
タイの米菓で、ジャスミン米ともち米を100:0〜0:100の5段階で混ぜた。もち米が多いほど膨らみが増え、硬さが下がった。7段階の好みでは25:75と0:100が高評価。
Kithikorn・Hongsprabhas 2012 要旨を確認
揚げた米菓で、もち米粉を増やしてアミロースを下げると、体積・気泡の大きさ・吸油量が増えた。
Noomhorm ほか 1997 要旨を確認
原料のもち米を貯蔵して古くすると、もち米の米菓の膨らみは下がる傾向、硬さは上がった。
Matsue ほか 2002 数字を確認
もち米の糊化温度で餅の固まる速さが推定できた。糊化温度62℃未満のもち米は固まるのが遅く、実る時期の気温が24℃未満だと非常に遅かった。年による差が品種の差より大きかった。
Nakano ほか 2023 数字を確認
もち米の遺伝子の型によって、低温で保存した餅が6日間やわらかいままの系統と、6時間以内に固まる系統があった。
石川県農林総合研究センター 2020 要旨を確認
もち米の脂質が多いほど膨らみが小さい傾向があり、脂質を除くと膨らみが大きくなった(最中・麩焼きせんべいの種)。
新潟県農業総合研究所 食品研究センター 令和3年度 数字を確認
パーム油系の粉末油脂を乾物あたり5%前後加えると餅生地の冷蔵での固まりが早まり、製造日数が5日から4日になった。ナタネ油系は逆に固まりを抑えた。
Yeh 2001 書誌のみ
押し出し成形した米のペレットとアミロースの研究。
工程
蒸す・練る・乾かす・寝かせる・焼く。
Takei ほか 2019(亀田製菓) 原典で照合
蒸し5・30・60分×練り5・10・15分の生地で、蒸しと練りが長いほど煎餅の比容積が大きく、気泡の壁が薄くなった。生地の tan δ と比容積の関係は R² 0.79超。
西谷 ほか 2005(マスヤ・三重大学ほか) 原典で照合
うるち米の煎餅で、生地の固まり方は一次乾燥でほぼ決まり、水分約25%以下ではほとんど変わらなかった。乾燥が速いほど膨らみを妨げると考えられた。
西谷 ほか 2006 原典で照合
乾燥温度が高いほど生地の中と外の水分差が大きくなり、均一でやわらかく膨らませるには低温の乾燥が効果的と考えられた。薄い生地ほど水分がそろいやすい。
茨城県工業技術センター 平成17・18年度 原典で照合
天日乾燥の生地は一次乾燥後の水分が多かった。二次乾燥の条件をそろえると天日の方が膨らみやわらかかったが、焼いた後の水分も多かった。焼く前の水分をそろえると逆の結果。
茨城県工業技術センター 平成20年度 原典で照合
天日・機械・人工太陽照明灯の3通りで乾かした試作。比容積は人工太陽光4.45、機械4.10、天日3.70 ml/g。見た目と味の差はあまりなかった。
茨城県工業技術センター 平成19年度(干し芋煎餅) 原典で照合
標準の工程は、一次乾燥のあと袋で一晩ねかせて二次乾燥。白焼きの比容積は2.97 ml/g、干し芋ペースト10%入りで3.48 ml/g。ねかせ後に水分が上がったのは、袋の中の結露が生地に戻ったためと報告書は説明している。
福井県農業試験場 食品加工研究所 平成13年度 数字を確認
固まりにくいもち米を粒のまま常圧の蒸気で2時間処理すると、餅生地が固まるまでの時間が2日から1日に短くなった。
富山県 食品研究所 2013 数字を確認
乾燥中の生地を落としたときの音で乾き具合を見分ける技術。乾燥が進むほど1 kHz以上の音が大きくなった。
Nguyen ほか 2026 数字を確認
黒もち米の米菓を真空で揚げると(110℃10分)、ふつうの揚げ方(160℃10分)より脂質が36%、硬さが69%少なかった。家庭向けの方法ではない。
食感
硬さ、パリパリ感、しける仕組み。
Saita ほか 2021(東北大学・亀田製菓) 原典で照合
柿の種5種類の食べ比べ。湿らせて乾かし直したものはほぼ「ベタベタ」とされ、2つの実験とも好みが最も低かった。噛む音の大きさと好みの相関は有意でなかった(r = 0.63, p = 0.08)。
Peleg 2015 原典で照合
シリアルやスナックは、中くらいの水分でパリパリ感を失う一方、かたさは上がり、食べた人も「硬い」と感じた(moisture toughening)。
Takahashi・Fujii 2025 原典で照合
玄米などのパフは、水分8%を超えると割れずにつぶれる壊れ方に変わった。水分8%のガラス転移温度は約40℃。
van Nieuwenhuijzen ほか 2008 原典で照合
パンの皮のモデルで、パリパリ感は水分量と水分活性の両方の影響を受けた。一度多く水を含んだものは水分の分布がまだらになると考えられた。
新潟県農業総合研究所 食品研究センター 令和元年度 数字を確認
米菓を押す力と割れる音を同時に測り、「サクサク」などの擬音語の出やすさを推定する方法(業務用の装置)。
Katz・Labuza 1981 書誌のみ
スナックの水分活性とパリパリ感の古典的な研究。
Siripatrawan・Jantawat 2006 書誌のみ
ジャスミン米の米菓が湿気を吸う様子(吸湿等温線)の研究。
Roudaut ほか 2002 書誌のみ
パリパリ感の研究をまとめたレビュー。
香りと味
醤油の焼ける香り、塩味の感じ方。
Steinhaus・Schieberle 2007 要旨を確認
日本の醤油の香りの成分30種類を調べた。加熱すると調味料らしい香りの成分(ソトロン)が減り、香ばしい香りやカラメルのような香りの成分が増えた。
Kaneko・Kumazawa 2020 数字を確認
醤油とみりんを合わせて加熱したときの香りの変化。最も強い香りはメチオナールだった。
Manabe ほか 2020 数字を確認
生の醤油の香りには塩味を強く感じさせる効果があったが、加熱で消えた。加熱した醤油の香りは、塩分を減らした液のおいしさを上げた。
Onuma ほか 2018 要旨を確認
うま味(グルタミン酸ナトリウム)や醤油の香りで塩味が強く感じられ、脳の味の領域の反応も強まった。
Ryo ほか 2025(農研機構) 要旨を確認
塩の総量が同じでも、舌の上で濃い所がある方が塩味を強く感じた(固形の食品)。
Moncada ほか 2015 数字を確認
表面に塩を振るクラッカーで、塩の粒を1500 µmから1.5 µmまで細かくすると塩味が上がったが、15 µmから1.5 µmでは上がらなかった(476人)。
Yoshihashi ほか 2002 要旨を確認
香り米の香ばしい香り(2-アセチル-1-ピロリン)のもとはプロリン。稲の体内での話で、焼いたときにできる仕組みではない。
感じ方
噛む音、擬音語、パリパリ感の感じ方。
Vickers・Christensen 1980 数字を確認
20人・16食品で、パリパリ感は硬さより噛む音の大きさと強く関係した。
Zampini・Spence 2004 書誌のみ
ポテトチップスを噛む音を変えて聞かせると、パリパリ感と新鮮さの評価が変わったとされる研究。
Spence 2015 要旨を確認
食べる音を変えると、食べている物の感じ方が変わる、とまとめたレビュー。
Wang ほか 2020 要旨を確認
パリパリした食品の割れる音の周波数をまとめたレビュー。値は装置と試料で違う。
Hanada 2020 要旨を確認
56食品の写真と日本語の擬音語から、食感の15の次元を取り出した。
Nakamoto ほか 2024 要旨を確認
力・振動・音の組み合わせで、パリパリ感の評価が変わった(10人)。
Zhu ほか 2024 要旨を確認
穀物パフの割れる音のエネルギーは低い周波数に集中していた。
Dacremont 1995 書誌のみ
パリパリ・カリカリ・バリバリした食品の咀嚼音の周波数の研究。
Szczesniak・Kahn 1971 書誌のみ
消費者が食感をどう意識しているかを調べた古典的な調査。
安全
焦げとアクリルアミド。
農林水産省 米菓のアクリルアミド含有実態調査 原典で照合
米菓のアクリルアミドは調査年度により平均0.068〜0.13 mg/kg。平成28年度の調査では、もち米の焼き米菓が平均0.07、最大1.2 mg/kg。
農林水産省 アクリルアミド低減の指針 Q&A 原典で照合
一般に加熱温度が高く、加熱時間が長いほどアクリルアミドができやすい。いも類・穀類などは焦げるほど強く加熱しないことが重要。
研究の組み合わせから目安を出す組み合わせツールもあります。研究の追加・訂正のご指摘は hi@seadice.win まで。